外間進悟 助教のカーボン量子ドットに関する研究がNanoscale (Royal Society of Chemistry)に掲載されました。
Carbon quantum dots modified with hyperbranched polyglycerol for bioapplications: improved photostability and temperature selectivity
S. Sotoma*, K. Shiraya, S. Shimomura, Y. Yoshida, K. Maeda
Nanoscale, 17, (2025) 6466.
カーボン量子ドット(CQD)の表面を化学的に修飾することにより、CQDの抱える問題である光褪色への耐性を飛躍的に向上させることに成功しました。具体的には表面未修飾のCQDでは1800秒間の光照射により18%蛍光強度が低下したことに対し、修飾後は光褪色がわずか3%に留まっていました。加えて、修飾後のCQDがpHなどの影響をほとんど受けずに温度にのみ高い感度を示すナノ温度計として機能することを明らかにしました。未修飾のCQDでは、その発光は温度の他に塩強度・pH・粘性・生体分子などの環境因子の影響を受けて変化していましたが、修飾後のCQDでは、温度への蛍光の応答性は変わらずに、環境因子の影響を10〜100倍程度低減していました。この成果は、細胞内のような複雑な環境下であっても表面修飾されたCQDが信頼性の高い温度計として機能することを示した初めての例となります。開発されたプローブは、安定な発光を必要とする蛍光イメージング分野への貢献、温度が細胞機能を制御する仕組みを明らかにする温度生物学分野への貢献が見込まれます。

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