【論文】”Nano Letters”に掲載されました

外間進悟 助教, 白矢昂汰 博士前期課程1年が共同研究を行った研究がNano Letters (ACS Publication)に掲載されました。

Fluorescent Thermometers Based on Carbon Quantum Dots with Various Detection Modes for Intracellular Temperature Measurement
Y. S. Kato, Y. Shimazaki, S. Chuma, K. Shiraya, Y. Nakane, T. Sugi, K. Okabe, Y. Harada*, S. Sotoma*
Nano Letters, 2025, 25, 5688-5696.

CQDは従来型の量子ドットと同様に量子サイズ効果に由来する蛍光を発する性質があります。一方で、CQDの構成成分は主に炭素であり、従来型量子ドット(QD)のように重金属(カドミウムなど)を含まないため、細胞に対する毒性が低く、バイオセンサとしての利用が期待されています。しかし、CQDの蛍光特性・温度応答性を精密に制御することが難しく、これまでに生化学反応に伴う温度変化の計測には成功していませんでした。
本研究では、アントラキノンを骨格とする新規CQDを合成し、青〜緑色で発光し、蛍光強度・蛍光寿命・比率型の温度計として機能するCQDの開発に成功しました。蛍光寿命型の温度計は、pHなどの環境変化に耐性があり、細胞内でも温度計として機能することがわかりました。実際に、ミトコンドリアの膜電位を脱分極させることによって引き起こされる細胞内の温度上昇を計測することに成功しました。さらに、蛍光強度と蛍光寿命の異なる手法で相互検証することによる、信頼性の高い細胞温度計測法を確立しました。
この技術により、細胞内部の微小な温度変化を計測することが可能になり、細胞活動と温度の関係をより正確に分析できるようになりました。

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